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パスタ鍋の「重い」「手間取る」を解消したら、
パスタづくりの手順まで最適化できました。

そもそも鍋は、円筒形じゃなくていい?

「そもそも、これってどうなの?」からスタートする「4w1h」の開発。今回は時間がない場面でもササッとつくれるパスタに注目。使う道具の「そもそも」や、調理中と後片付けの「何とかしたい」を見直して、この「マルチパスタパン」が完成しました。
まず調査したのは、定番すぎて見落としていた「鍋=円筒」の謎。理由は…製造工程で加工しやすいから。答えに肩透かしを食らいつつ、「よりササッとつくれる形」を模索しはじめました。

パスタに湯がかぶる、最低ラインを考えた。

パスタづくりで「ササッといかない」のが湯切り。たっぷりの湯を沸かし、熱々の重い鍋を持ち上げて、パスタをザルに移すのは大変です。つまり何とかすべきは湯量のカットだと考えました。
そこで機能と直結しない円筒の鍋を、ロングパスタが収まる長方形に近い八角形の鍋底に。そのまま寝かせて投入したところ、湯はパスタにかぶる最低量で済むと気づきました。こうして湯量のカットに成功し、スピーディーな茹で上がりまで手に入れたのです。

もう手間取らない、ザルなし湯切りへの道。

調理プロセスをラクにするため、もうひとつ何とかしたかったのがザルなし湯切り。鍋を浅く長い形にしたことで、長い方の辺に穴を空ければ、傾けるだけで一気に湯切りができると想定し、穴の大きさや湯切り角度などを試行錯誤していきました。
第1形態では細長い楕円穴や細かい正円の穴をフタ上部に設計。感触はよかったものの、大きく傾けなくても湯が残らない形をめざして、穴をフタから本体側面の上部に移動しました。

湯切り穴から波形スリットに、発想を転換。

余計な力を使わないよう、傾ける角度を抑えた第2形態。ところが沸騰時、この穴から吹きこぼれることがわかりました。
そこで今度は湯切り位置をフタと本体の間へ。フタのふちを波形にして、本体と沿わせた時にパスタをせき止め、湯だけを放出する波形スリットへと発想を転換しました。結果的にパスタがくっつきにくくなり、湯切りスピードはググッとアップ。ザルの網目と違って汚れが目詰まりしないので、すっきり洗いやすくなりました。

後片付けまでラクになる、ワンパン調理を実現。

フタが外れてパスタがこぼれないよう、持ち手にも工夫を施しました。フタの端は持ち手まで延長し、持ち手を凹にフタの端を凸にして固定。重なり部分を押さえやすくしつつ、安定感を増すため、持ち手裏側には指になじむ波形グリップを取り付けました。
また湯切りを極めたことで、「炒めたり和える機能もまとめたい」とワンパン調理のアイデアに発展。洗い物となる調理道具を減らし、後片付けまでラクにする時短ツールに仕上げました。

フタを立てれば、キッチンすっきり。

開発ではキッチンを占領する、フタ置き場問題にも取り組みました。選択したのは「置かずに立てる」という解決法。持ち手にスリットを設け、調理中はここに差し込もうと考えたのです。
重要だったのは差し込み角度。当初約50度に設定した試作では、フタに湯気が当たり水滴が流れ落ちる事態に。そこで直角まで立ち上げ、水滴が溜まらず調理中じゃまにならない角度を研究。約80度または約110度の傾きを選べるよう調整しました。
これまでのパスタ鍋を生まれ変わらせた「マルチパスタパン」。
パスタ好きの方の新定番にしてもらえたらうれしいです。